冬至の朝に

〈黒い靴のままで〉

喪中なんだ
死んでいった友人の
生まれなかった子どもの

喪中なんだ
生まれて死んだ子どもの
傷つきやすい魂の

喪中なんだ
切り取られた腸の
行方不明のおじさんの

喪中なんだ
海辺で腐っていたアザラシの
離さなければならなかったあの手の

喪中なんだ
コンドルのジョーの
道端で轢かれていたカマキリの

喪中なんだ
届かない言葉の
受け取られなかった愛の

喪中なんだ
唇を噛みしめる子どもの
語らなかった老人の

喪中なんだ
毎日沈んでいく太陽の
滅びてしまった種族の

喪中なんだ
生まれては死んでいく細胞の
爆発してしまった惑星の

喪中なんだ
潰えてしまった夢の
失っていく自由の

喪中なんだ
いまこの瞬間の
終わってしまう物語の

毎日毎日
電車が止まるよ

毎日毎日
殺し合いがあるよ

毎日毎日
子どもがぶたれるよ

私は喪のあけ方を知らない

黒い靴のままで
踊っても
いいだろうか

Written in May 2016
 
2014 Planetary Dance in Chigasaki

Photo by Yusuke Sato

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