シートンと和解した。
誰って、あのアーネスト・トンプソン・シートン
「狼王ロボ」を書いたシートンだ。
(正式な書名は「ロボ:カランポーの王」)
小学生の頃、図書館が居場所だった私は、貪るように本を読んだ。
シートン動物記も全部読んだ。
二回以上は読み返している。
初めは子ども向け、次はもう少しちゃんとした訳で。
高校生になり、生態系の一員としての狼を知った。
彼らのように吠え、彼らのようにかけたいと願った。
そのうち、心の中でシートンが許せなくなった。
シートンはロボの最愛の伴侶であるブランカを捉え、
その死体を囮にし、ロボを捕まえたのだ。
鬼畜はどっちだ?
ロボの運命に、アメリカンネイティブたちの運命が重なり、
さらに、さらに許せなくなった。
そのようにして長い時が過ぎた。
私は伴侶を得て、繁殖した。
ある日、一冊の本が目を惹いた。
SMXL
また新訳かい、と私はひねた心で思った。
けれど、本の作りや優しいイラストに目を惹かれ、手にとった。
物語が終わった後に、新しい章が付けくわえられていた。
「生まれ変わったシートン」というタイトルだった。
本文から抜粋する。
「この物語はロボの死で終わらない。この世から消えた後もロボは生き続けている。
シートンはとても矛盾に満ちた人間だった、自然への愛と、優秀なハンターとしての能力の間で、心がひきさかれていた。しかし、ロボの死のあと、シートンの中で何かが変わった。
(中略)
シートンはその後、生涯にわたってオオカミの保護と、大規模な破壊にさらされたアメリカの自然環境保護に身を捧げた。
シートンは、二度とオオカミを殺さなかった」
シートンの作品に影響を受けた一人に
「オオカミよなげくな」(新訳「狼が語る:ネバー・クライ・ウルフ」)の
ファーレイ・モウワット(新訳ではファーリー ・モウェット)がいる。
ああ、だから アーネスト・トンプソン・シートン、
私はあなたを許すよ。
私はあなたの流れの中で
恩恵を受けたんだね。
ありがとう、アーネスト・トンプソン・シートン。
人は間違えても
やり直すことができる。
そして、すべての4本足の友だちに
「カランポーのオオカミ王」を捧げてくれた
作者ウィリアム・グリルに敬意を込めて。
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